第5章 purple
「や、だからね?あれはなんというか
会ったのは偶然でね?」
「へえ、じゃあたまたまさんが
メンズフロアに用があって
たまたま亮介さんもそこにいて
たまたま行く店も全部一緒だった、と」
いつになく高圧的な松本くん。
昨日たまたまロケでメンズ館に行った際に
私と亮介さんが(楽しく仲良く)
お買い物をしていたのを目撃したそうで。
(お気付きの通り、楽しんでいたのは
亮介さんだけで私は決して
仲良くなんてしていない。)
「…い、や、勝手についてきたの
亮介さんが」
絶対的な自信も
松本くんの凄みを目の前にすると
こうも言い訳っぽくなるものか、と
焦りが出て、ついどもってしまった。
…と、歳上なのに。
「大体、メンズ館になんの用があんの。
どうせあれでしょ?
亮介さんのことだから
ネクタイ選んで?
とかなんとか泣きついたんでしょ?」
「…(すごい、なぜそれを)」
「図星かよ」
「い、や!…うん、当たってるけど
…それが私の用事ではなくて」
「…選んだの?ネクタイ」
松本くんが少し寂しそうな顔をした。
「…あ、いや」
選んだ、といえば選んだ。
けど、それは亮介さんにではなくて。
私がその秘密をまだ言えないでいると
「…あー、もう、何言ってんだろう俺」と
自分を反省するように頭をかく彼が
「…変なヤキモチ妬いてごめん!」と
そっぽを向いた。