第5章 purple
私の言葉に小さく笑う亮介さん。
寂しそうに
「もう過去形なんだね」と言われた
その言葉に、ああ、本当だ
と自分でも素直な思いに驚いた。
「…正直、この間までずーっと
引きずっていたことに
昨日気付きました」
「…昨日?」
「はい、松本くんが言ってくれたんです。
私の中の決着が着くまで
待ってくれるって。」
"待つ"その言葉を直接言われたわけではない。
だけど、松本くんの言葉は
その意味をちゃんと含んでいた。
「…そんな、たいした女じゃないのに、
待っててくれたんです、ずっと」
昨日だけじゃない。
ずっとそうだった。
彼は最初から私の傍にいて
無理やりだったことなんて1度もなくて
ずっと私の気持ちを優先して。
「答えたいんです。
松本くんだけだって。」
昨日選んで、と言われた時に
松本くんとの関係が少しの間でも
不安なものになった。
付き合っている、という
確認と安心。
それを失うと思うと
すぐに答えを出したくなるくらい
今じゃ松本くんが傍にいないことが
凄く寂しい。
その答えは
あなたに遮られたけれど、
そうじゃなきゃ
こうやって亮介さんとの関係を
ハッキリさせる時間もなく、
またいつか亮介さんのことを
思い出す日がくるかもしれない。
私にはこの時間が必要だった。
これからの日々を
松本くんとの時間に変えるために。