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君と紡ぐ100のお題

第5章 purple






「お疲れ様です」


コーヒーを入れ
亮介さん用のマグカップを渡す。


「ありがとう」


とそれを左手で受け取る亮介さんの薬指を
つい意識してしまった。





『 ちゃんと、俺と亮介さんを見て  』





昨日の松本くんのせい。



亮介さん、
どういうことですか。

松本くんの言っていた、
私のために別れたってなんなんですか。

またいつもみたいに悪さして
奥さんに見捨てられた、
それだけのことじゃ、ないんですか。





「なに、どうしたの?そんなに俺が好き?」

といつもの調子で私をからかう彼。






なんでだろう、
亮介さんが独りだと思うと
胸が痛んだ。

昔はあんなに独りぼっちにされたのに。



私が何も言えないでいると
少し寂しそうな顔をした亮介さんが

「…なんか言ってよ」と笑う。





言いたいことは沢山あるのに、
言ってはいけない気がした。

もし奥さんと別れた理由が
何かあるとしても
私が言ってはいけないこと。

亮介さんが私にはバレたくなくて
言わなかったことなら
それは言ってはいけないこと。


「…亮介さん、私」





今、あなたに

言いたいことは


そんなことじゃない。












「感謝、してます。」

「え?」

「亮介さんがいてくれたから
 今の私がいるわけで」


亮介さんを忘れるために
がむしゃらに頑張った仕事が
今こうやってかけがえのない物になって
その姿を見てくれた松本くんと出会えて




「…あなたを、好きになってよかった」




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