第5章 purple
「松本くんさ、
このあとまだ仕事?」
現場の大きなデジタル時計を見ると
22時30を過ぎている。
「いえ、今日はこれで」
「じゃあ飲み行こう!」
「…は、い?」
何、言ってるんだ、この人は。
仕事中だとわかっていても
その話題を持ち出すしかなかった。
「亮介さん、
俺がさんのこと好きだって
知ってて言ってますよね?」
「もちろん、付き合ってんでしょ?」
亮介さんが大人の、余裕ある顔をした。
つまりは、何?
これは挑戦状なのか、
それともただのいい人なのか
…わからない。
「俺、正直、亮介さんと
仲良くするつもり、ないっす。
つうか出来ない。
…すげえガキっぽいんすけど、
飲みに行ったところで」
「うん、じゃあ後でね」
「はい、後で…って、は!?」
「俺、あと10分くらいして
こっち出るから」
「ちょっと、あんた人の話聞いて」
「ない」
亮介さんが悪戯な笑顔を見せた。
撤回、撤回だ!
さん、一体
この自由人の何が良かったんだ。