第2章 red
「…あ、翔くん」
何故か息を切らす翔くんが
目の前に。
「…っ、もう!」
と私に近づいてはあ、はあと
苦しそう。
「…だ、大丈夫?」
能天気な私の発言に
眉を歪ませて、キッと睨まれる。
「こっちのセリフ!」
「え?」
さっきまで怒ったような顔をしていたのに
すぐに翔くんの眉が下がる。
「…大丈夫?」
私が言ったことをそのままオウムガエシ。
「……、」
「…おばさん、心配してたよ?」
そりゃそうだ。
こんな時間まで家に帰らないことなんて
いつもならないもん。
「……」
翔くんの言葉にただ俯く私。
凄く寒い空気の中
首もとにフワッと暖かさが降りてきた。
顔を上げると
優しい顔した翔くんが笑って
「貸してあげよう」
と赤いチェックのマフラーを
私の首にまく。
「…これ」
「うん、去年のクリスマスに
あなたがくれたやつ」
「……」
「…あーあ、泣いちゃった」
優しくされると
胸の奥の寒さが驚いて頬に流れるそれ。
「しょ、翔くんっ…せ、んぱいがね」
「…うん」
よしよし、と私の頭を撫でる彼。
その先を言わずとも
わかっている気がした。
「・・・今年のクリスマスも
俺と過ごしてくんない?」
翔くんなりの優しさ。
「・・・うっん、」
「よしよーし」
と笑って私の頭に触れるそれは
さっきみたいな撫で方ではなくて。
わしゃわしゃと、
まるで犬をあやす様に。
「・・・い、ぬじゃないっ」
「あはは、買いたいなあ
犬」
「さっ、帰ろ」
私の手を取り歩き出すあなたの背中を見て
ありがとう、と
翔くんが居てくれてよかった、
その2つを思い
首に巻かれる赤いマフラーの下で
隠れて笑って。
END.
「今年もプレゼントくれる?」
「赤いチェックのセーターでいい?」
「・・・あなた俺をどうしたいの?」
「ふふ、チェックしばり」