第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
クリスマスに会えなくて、
そのままバタバタ年末を迎え、
綾ちゃんは
息子に会うために東京に行き、
正月三ケ日を過ぎた頃からは
今度は俺が受験前のあれこれで忙しく、
ようやく二人で会えたのは、
世間が新年に慣れ、
通常モードになってきた1月の中旬…
1か月ぶりくらいの再会だった。
久々に会えて、嬉しくて嬉しくて。
ドアを開けてくれた綾ちゃんを
すぐに抱きしめる。
『綾ちゃん!』
すぐそこの台所から漂ってくる、
うまそうな匂い。
見慣れたエプロン姿。
抱き締めた時の、いつもの体つき。
そして、
『いっちゃん、いらっしゃい!』
聞きなれた、俺を呼ぶ声。
『久しぶりね。』
『久しぶりどころじゃないよ!』
菜箸を持ったまま、
俺に抱き締められて笑ってる綾ちゃん。
『あれ?いっちゃん、ちょっと太った?』
『え?』
『お腹回り、貫禄ついた気が…』
苦笑。確かにそうかも。
『だって、俺、物心ついてから
こんなに運動しなかった1か月、
多分、今まで、ねぇもん。
ほんと、あっという間に
体、重くなった自覚、ある!
年末年始も、なんか、ずっと
ダラダラ飲み食いしてたしさぁ…
久々に綾ちゃんの作る
健康的な食事、食わせてよ!』
そんなことを言いながら、
いつもみたいに二人で準備して、
いつもみたいに二人で飯、食いながら
お互いのこの1ヶ月のことを話して、
いつもみたいに二人で片付けて、
そして、
いつもみたいに二人で抱き合った。
1か月ぶりの
綾ちゃんとのセックス。
欲しくて欲しくて、
気持ちよくて気持ちよくて、
愛しくて愛しくて、
抱いても抱いても足りなくて。
『…もしかしたら、もう、東京から
帰ってこないんじゃねーか、って、
俺、ちっと心配してた。』
『そんなわけ、ないでしょ。
息子以外に、もう、あそこに用はないの。
こっちで仕事始めたのは、
私の何よりの、ここで生きてく覚悟よ?』
…んなこと、わかってるけど。
『俺のことは?』
ん?と笑った綾ちゃん。
『そうそう、ここにも一人、
お腹を空かせた息子が待ってるし。』
そんな話をしながら、裸で抱き合う。
外が寒い分、布団の中で触れる肌は
ぬくぬくと格別の暖かさと心地よさで…