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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




彼女の姿が、
改札の向こうに完全に見えなくなって、

『はぁ。』

なんだか大きく息をついてしまった。
…これって、ため息?
何に対してのため息?

横を通りすぎる人から、
フッと酒くさいにおいがして、我に返る。
もうすぐ、10時。
こんな時間まで外にいたの、久しぶりだ。

…なんか、腹減った。

帰ろ。
綾ちゃんは
『今日は彼女と食べておいで。
晩御飯、作らないよ。』
って言ってたけど、

ちゃんとしたもの食いたいし、
このグズグズした気持ちも吐き出したい。
飯、食いながら、話、聞いてもらおう。

『いっちゃん、バカねぇ。』って
笑いとばしてもらったり、

『いっちゃん、ダメじゃん。』って
呆れながら笑われたり、

『それでよかったんじゃない?』って
みえみえでも慰めてもらったり、

『とにかく、ご飯、食べなさいよ。』って
世話やいてもらったり、

とにかく相手してほしくて、

その相手というのは、

チームメイトとか、
俺の外の家族のみんなとか、
(そういや、外のみんなには
しばらく会ってないな。)

ましてや母親じゃなく、

綾ちゃん以外はあり得ない。

友達のことも彼女のことも、
下ネタも家族関係のことも話せて、

子供扱いするわけじゃないけど
大人扱いして突き放すわけでもなく
受け止めてくれる、

綾ちゃんに、聞いてもらおう。

そう思ったら、
自然に足取りは早くなる。

なんか甘いものでも買って帰ろうかな。
そしたら、俺が飯食ってる間に
綾ちゃんはコーヒー淹れて、
俺の前に座って、オヤツ食いながら
ゆっくり話し相手してくれるはず。

…ラーメンとラブホ代で
ほとんど持ち金使ってたから
たいしたものは買えなかったけど、

小銭、全部使って
夜の店の間にある小さなケーキ屋で
プリンとチーズケーキを買って

そこからは、ほぼ駆け足。

"寝る前だから甘いものは止めとく"とか
言わせない。
"もう、歯磨きしちゃったから、
明日、いただくわね。"っていうのも
ナシだから。

そんなことばっかり
…綾ちゃんのことばっかり…
考えながら、急いだ。

家に帰りたい、って
こんなに思ったこと、あったっけ?

誰かに会いたい、って
こんなに思ったこと、あったっけ?


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