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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




抱き締めたまま、
どのくらいたっただろう?

長くはないはず。
でも、
10秒だったのか1分だったのか、
よくわからない。

…ッ…ギュッ…

俺の手に触れていた綾ちゃんの手に
力が加わったのがわかった。

1回目より2回目、
強く伝わってきた指先の力は、
やがて離れて。

ゴソゴソ、クルリ。

綾ちゃんが、
俺の腕の中でこっちを向く。

真っ直ぐに、見上げる瞳。

『いっちゃん、』

『ん?』

『静を裏切るのは、私だから。
いっちゃんは、私に引きずられただけ。
だからいっちゃんは、全然、悪くない。』

なんのことだ?
…と、考える間もなく
綾ちゃんの暖かい手が
俺の両目をそっとふさぐ。
自然と目を閉じると、その手は離れ、
今度は両手で俺の頬をはさみ、

?!

唇に、柔らかい衝撃。
押し付けられたまま、
細いすき間から小さな音がする。

吸い付く息と、
濡れた唇の音。

突然のキスにめまいがしそうで、
綾ちゃんの背中に回した腕に
力を込めて、気付いた。

グンと反った背筋…つま先立ちの背伸び。
俺に近づくためのその動きが、
さっきの言葉の覚悟のようで。

"私に引きずられただけ、
いっちゃんは悪くない。"

そんなん、ずりぃよ。
綾ちゃんこそ、悪くない。
綾ちゃんを口説いたのは、俺。

そう伝えたくて、乱暴に唇を離し、
驚いてる綾ちゃんを抱えあげて
シンクの横に座らせた。

『自分ばっかり大人のフリして、ずるい。
…これで、共犯だから。
俺の高さで、俺からキスさせて。』

『いっちゃ…』

何も、言わせない。
俺が、そうしたいだけ。

近くなった顔。
おでこをつける。
平熱なのに、すごく熱い。
聞こえるはずのない鼓動まで
聞こえる気がする。

自然とお互いの顔が傾いて、
自然とお互いの唇が触れる。

俺の両手は綾ちゃんの両頬に。
綾ちゃんの両腕は、俺の頭に。

濃厚なキスの、始まり。

舌を絡め合い、
口の中を探りあう。

唇も、舌も、歯列も。
ねっとりと舐めあい、
時々、どちらかが激しく吸いつくと、
ジュル…クチュ…と卑猥な音が響く。

綾ちゃんの両頬を挟む手に
力をこめた。

じゃないと…
この手が、次に、進んでしまいそうで。


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