第146章 あなたにもう一度後日談(4)前編
安土城にて___
普段の冷酷な姿からは想像も出来ないような、鬼がそこには居た。
「それ程までに俺が良いかぁ♡」
血の通わない声がまるで猫を撫でるようなモノに変わり、鼻にかかった甘ったるい声。それが膝の上にキョトンと乗った小さな姫に向けられた。
普段は背筋を一瞬で凍りつかせる程の鋭い眼。
しかしその目尻は先程から終始、下がりっぱなし。
「じ、じ!しゅきっ」
敢えて名では無くそう呼ばせ、キャッキャッとはしゃぐ愛らしい姿に、鬼の頬がほんのり染まり……胸がきゅーん♡と高鳴る。
(孫は目に入れても痛みがないと例えは、本当であったな)
鬼はそう心で呟き、もう一人の可愛い孫の到着を待っていた。