第135章 あなたにもう一度後日談(1)
俺はひまりの肩に羽織を乗せ、歩調を合わせ足を進める。
子供達に早く会いたい気持ちが、いつもより歩く足を早めるひまりから伝わり、玄関に辿り着いた瞬間……真っ先に部屋へと向かう姿を見て、さっきまで声を上げ泣いていたのが嘘のように母親の姿に戻っていた。
「………そっかぁ。流石にもう寝てるよね」
ひまりは残念そうな声で、二人の寝顔を見つめ……口元を綻ばせた後、流れそうになる涙を指で抑え座り込む。
「………良かった。あの時の怪我治ってたんだね」
「………良く効く軟膏塗ったからね。跡は残らないと思う」
「ありがとう。……家康も仕事で忙しいのに色々本当にごめんね」
「……父親なんだから、当たり前」
竹千代の頭を撫でるひまりの隣に座り、俺は昨夜、二人で育てようと言った事をもう一度言うとひまりはあの時は本当に嬉しかった、と……泣きながら笑った。
「実は子供達前では、普通に接してたんだよ?最初は見えなかったから、ちょっとぎこちなかったけど……」
やっぱり、子供には嘘なんかつきたくなくて。ひまりはそう言って、苦味を潰したようにはにかんだ。
「……本当は、誰にも嘘なんてつきたくなかったんだけどね」
ひまりは俺が贈った櫛を取り出し、毎晩これを見て泣いていた事を話し……子供達に耳飾りをあげた事を謝った後、どうしても繋がっていたかったと話した。
「いいよ。また、ひまりには違うの作って……」
俺はそこまで言いかけて言葉を止める。ある人とある約束をした事を思い出し、明日、四人で出掛ける行き先を決める。
「うん!私もずっと会ってみたかったから嬉しい!」
「なら、早めに出て色々回りながら帰りに寄ろう」