第94章 今を生きる
「他の者の内番を手伝って一緒に畑を耕したり、おぬしの兄弟と遊びに興じたり。時には鶴と悪戯事を考えたりなぁ、何事にも手を抜かず本気でやる主を見ているのが好きだった。」
……あの時まではな。と、少し寂しそうに目を伏せると、頭に巻いていた手拭いを外してきゅっと握る。
「あの…言いずらかったらいいんだぞ?無理には聞かないし‥」
「いや、気にするな。もう過ぎた事だ。…この本丸から長谷部が消えたあの時から一度目の終わりまで、主を見ているのは本当に辛かったぞ。まるで別人になったように、痩せて毎日泣いていたからな。あの時程、自分の無力さを悔やんだ事はない。」
苦笑いをしてから、はぁ、と溜め息をつく。俺の知らない本丸と主の事、皆どんな気持ちで過ごして来たんだろな。