第17章 彼氏トレード
話を切り替えようにも、他に話題がある訳はない。
雑談は、苦手分野である。
赤葦さんも、無駄に話し掛けてこないのは、私の機嫌が悪いのは分かっているからのようだし、沈黙のまま、ただ時間が過ぎるのを待った。
1時間程した頃、近付いてくる足音。
居間の中に、みつが入ってきた。
その手には、皿が乗っていたけど。
「かき揚げ、見事に失敗しちゃった。」
皿の上の物は、どう見ても口に入れたい見た目じゃなかった。
てへ、なんて可愛らしく笑って見せてるけど、そんな場合じゃないだろ。
「コイツ、ホントにりらの妹か?不器用過ぎてマジ怖かったわ。」
みつの後ろから秋紀が疲れた顔をして現れる。
その手にも、やっぱり皿が握られていて。
こちらのは、見た目がとても綺麗だった。
かき揚げで失敗して、諦めて残りは全部秋紀にやらせたのが分かる。
呆れた息を吐いて立ち上がると、みつの持つ、かき揚げの成れの果てが鎮座する皿を掴んだ。
「え、ちょっ?姉ちゃん?」
意味が分からないようで、眉を寄せるみつに顎で台所を示す。
中々動いてくれなかったから、皿を奪って先を歩いた。
少し後から着いてきたのは気配で分かる。
台所に入ると、シンク横の台に皿を置いてキッチンペーパーを手に取った。
「姉ちゃん?何するの?」
「アンタが作ったなら、赤葦さんが食べると思うけど。」
「…けど?」
「明らかに、油だらけのコレを全部食べるのは見たくない。」
キッチンペーパーで、かき揚げの残骸を包んで皿に戻し、レンジに入れる。
「簡単なアレンジ教える。」
下処理として、油抜きはやったけど、この後は手伝わないと示すように、材料だけを冷蔵庫から出して調理台から離れた。