第27章 小さな太陽と大きな背中
~月島side~
『あ~、なんかゴメン』
勢いで山口に抱きついて喜んでいたポチが、我に帰って山口に謝る。
山「え、あ、気にしてないから!」
···してるだろ、どうみても。
山口は昔から、小さくて可愛いものに···興味を示す。
それが物だったり、人だったりは別として。
だから、今のは絶対に少なからず意識したはず。
それがイチイチ僕には面白くない。
だいたい、山口は普段あんな風に僕の影に隠れてボンヤリで天然だけど。
そのわりには、何気に女子にはそこそこ人気がある。
隠れモテ?ってやつ。
山口本人は全くと言っていいほど、気づいていないケド。
女子が困っていれば進んで手助けしたり。
女子には優しく接するところが、世間一般的にいうみんなに優しい男子ってトコか。
僕はそんなの面倒だし、ゴメンだけど。
それに、ポチもポチだ。
山口の雰囲気に、安全圏だと思って気を許し過ぎなんじゃない?
山口だって···一応、僕達と何ら変わりない男だっていうのに。
影「コラァ城戸!!テメェいつまで山口にベタベタベタベタしてんだ!痴女か!試合中だろ!!」
『痴···ちょっと!なんてこと言うのよ王様!!バカ!ハゲ!変態!!』
影「誰がバ···ハゲで変態だ!」
「王様、バカなのは認めるんだ?」
影「あぁっ?!」
「あ~うるさ」
菅「月島、お前ホントいつもそうやって掻き回す···」
ため息交じりに零す菅原さんにチラリと視線を送りながら、まだ影山と言い合いをするポチがいるネット際へと近寄る。
『もう知らない!変態王様のバーカ!』
影「はあっ?!」
ホント、騒がしい。
おもむろにネットに手を突っ込み、ポチの頭を捕まえる。
『痛ッ!ちょっと影山離してよ!それやめてっていつも、』
山「き、城戸さん!違う、影山違う!」
慌てた山口がポチに言って、ゆっくりと頭を掴まれたままポチが振り返った。
『つ、月島君···?!え?なに?!』
「ポチ、キャンキャン吠え過ぎ。うるさい」
『だって影山が!』
「ポチ、うるさい」
顔色ひとつ変えずに、もう1度言い放つ。
『ごめんなさい』
試合中は、お静に···ね?ポチ。
心で言って、口端だけを緩ませる。
やっと静かになった事に満足して、ポチの頭から手を離し、僕は背中を向けた。