第25章 追憶
あぁ・・・“ おかえり、紡 ”
よく、戻って来た・・・本当に。
滲みそうになる視界を、顔を上に向けて堪える。
本当に・・・良かった・・・
それから紡は顧問の質問にひとつずつ、ゆっくりと答えて・・・
武「今日のお昼は誰と食べましたか?」
『えっと・・・月島君と山口君に誘われて、一緒に。月島君が背が伸びる卵焼きだって言って、食べさせてくれました』
月島?
食べさせてくれた?!
・・・あのメガネ野郎、何してんだ!!
武「あはは、そうなんですか?仲が良いのはいい事ですねぇ」
そうじゃねぇだろ!
武「ここへ来るまでの事は、覚えてますか?」
『はい・・・う~ん・・・和泉先生に呼び出されて、話が長くて、走って逃げました』
走って・・・逃げた?
何したんだお前。
『それで疲れちゃって、マイクロ乗ってからいつの間にか寝てしまって・・・』
武「そうでしたねぇ。城戸さんの寝顔が可愛いって、みんな代わる代わる覗き込んでましたから」
・・・はぁ?!
『あと、寝惚けてて影山にギューって抱き着いて・・・影山に怒られて・・・』
国「影山に抱き着いた?」
金「王様のヤロー・・・」
国見?
金田一?
何でお前達が負のオーラを出してんだ?
同中出身だからか?
確かに紡はコイツらとも仲良かったケド。
『あ、そうだ!ここに着いてから矢巾さんにナンパされました!』
武「えっ?!」
「「「えっ?!」」」
矢「えっ?!あ、あは、あはは・・・」
矢巾テメェ・・・後の練習、3倍にしてやる・・・
武「ナンパ・・・ですか・・・」
『はい。でも、それ位の事はしょっちゅう及川先輩に言われ続けていたので、慣れちゃって別に何とも・・・』
溝「及川・・・お前見境ねぇな・・・」
及「紡ちゃん・・・その辺はオブラートに包んどこうよ・・・」
及川・・・お前も練習3倍決定だな・・・
いや、落ち着け俺。
何でこんなにムキになってんだ?
何で?
・・・そんなの、俺が1番・・・分かってんじゃねぇか・・・
握った手に、力が入る。
どれだけ手を伸ばしても届かない。
だからこそ、焦がれるんだ・・・
紡・・・お前はどんどん遠くに行っちまうな・・・
もう俺は・・・お前に追いつけないのか・・・
クソッ・・・
練習3倍なのは、俺もじゃねぇか。