第17章 陽だまり
慧「何がおかしいんだよ?」
『別にぃ?でも、元気いっぱいになっちゃったよ。慧太にぃ、ありがとう』
慧「ならオッケー」
軽い口調で返事をしながら、慧太にぃは腕を解いてくれる。
慧「じゃ、行くか?」
『そうだね!』
私は改めてリュックを背負い、身支度を整える。
慧太にぃがドアに手を掛ける直前に、ちょっと待ってと声をかけた。
『慧太にぃ、忘れ物してるよ?』
そう言うと慧太にぃは、ポケットの鍵やタバコを取り出し、忘れ物なんかないけど?という素振りをした。
『忘れ物は、こっち!』
私はさっきのお返しに、慧太にぃをギュッと抱きしめた。
『慧太にぃがお仕事頑張れるように、おまじない、ね?』
瞬間ビックリした慧太にぃも、これはこれはどうも、と言って嬉しそうな顔を見せた。
慧「紡、ゴキゲンな慧太様から褒美を遣わす。学校まで回り道して送ってやろう」
『ははぁ、これは有り難き』
お互い目が合い、笑い出した。
慧「それじゃ、行きますか」
慧太にぃの言葉に頷き、玄関を出て車に乗せてもらう。
『運転手さん、あの車を追って下さい』
慧「お?事件ですか?!・・・って、お前ほんとアホだな」
『もぅ、ノリが悪いよ?』
そんなやり取りをして、また笑いながら、家を出発した。