第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
お店を出て空を見上げる。
晴れた空は青く青く、自分の心の1ミリにも合わない。
この空の下を一緒に歩く事さえ贅沢。
ネガティブがネガティブを呼ぶ、どうしてこういう時に限ってこんなに悩んでしまうのか...。
手に力が入る。
こうでもしてなきゃ、心が持たない。
「大丈夫?」
歩幅が少し遅すぎたせいか心配そうにこちらを振り向く鈴音。
「!!お兄ちゃん!血!」
慌てながら鈴音はオレに駆け寄る。
力をこめていた事をそこまで意識してなかったせいか、少し長めの爪が手のひらを赤黒くしてた。
毒々しいほどの赤、今のオレにぴったり...。
空と正反対の色、ぼんやりとそんな事を考えた。
「お兄ちゃん、怪我しちゃったぁ...くっ、ひっく」
ハッとして目線を下へと向けたら、何故か号泣している。自分の傷の事よりその事に驚いた。
「えっ...なんで、泣いてんの...!?」
思わず素に戻ってしまうほどに動揺した。
鈴音が傷をおったわけじゃない、それなのに泣きじゃくる。
「ふえっ、ふえっく、はやく、手当てしなきゃ...!」
泣きじゃくりながらポケットをまさぐって、ピンク色のハンカチを取り出す。
怪我をしてる方を手にとりハンカチをまこうとする鈴音の小さな手は、冬の風とアイスのせいか冷たかった。
「こんなゴミクズにそんな綺麗なハンカ...」
「ハンカチなんかどうでもいいもん!」
オレの一言を遮って大きな声で叫ぶものだからぎょっとする。ボロボロこぼれたしずくはさっきの比じゃない。
鼻水まで出して大泣きして、これじゃあどっちが怪我をしたんだかわかりゃしない。
「な、泣かなくても...」
「やだぁ!好きな人が怪我したら悲しいもん!」
真っ赤に目を腫らし泣きじゃくる鈴音、馬鹿みたいに泣いて泣いて。
こんなオレの為に...。
すでに巻かれてしまったハンカチは鈴音の目と同じようにじわりと赤く染まる。