白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
そんな都合のいい事なんか
『せ、先輩!?
私…あの…』
「照れる顔も可愛いな、姫凪
そう思わね?黒尾!」
「…あ~、ね。
そりゃゴチソウサマ
相談役さっそくお役御免じゃね?」
あるわけないのに。
顔を少し歪めて
力なく笑うクロさんに
ズキッと痛む心
何か言わなきゃ
でも、なにを?
「んじゃあ…俺はこれで~
ジュースは…イイや。
姫凪ちゃん…じゃあな」
付け足されない"またな"が
クロさんを凄く遠くに感じさせて
またズキズキと胸が痛くなる
『あ、クロさ…』
「おいおい!教室帰るなら
一緒に帰ろうぜ!
姫凪、放課後迎えに行くから、またな!」
私の声を遮って
先輩がクロさんを追い掛ける
本当に遠くなって行く背中
これで良いはずなのに
今日先輩と結ばれて
もう相談なんてなくなって
会う意味も理由もなくなって…
また会う前に戻るだけ
納得しようと反対側に歩き出した足が
大きな背中を追い掛ける