第1章 伝説の始まり
「俺達はこれから空座町というところで虚を狩る。一応ベテランの死神が一人ついてくれることにはなっているが、現場での判断は各自が行うことになっている。お前は俺たちの邪魔にならないところで勝手にしていればいい。」
碓氷班長は穿界門の前で私にそう説明してくれた。
キチンと説明してくれるってことは最低限の配慮はしてくれてるってことかな?なんて思いながら私は門をくぐった。
門の中は暗く岩のような壁が両側にある一直線の道だった。
「暗い……」
「暗いところ苦手?」
周囲を見渡した私のつぶやきに、女の先輩が答えてくれた。
「嫌いじゃないです……。」
「そう? 私は羊間毛野、一応副班長。で、こっちのゴツイのが仁山喜利。その隣の前髪の長い奴が白馬竜馬。でさっきキミを庇ったのが志波海燕。あいつ班長とそりが合わなくてよくぶつかるんだよねー。」
流れるように自分と班のメンバーの紹介を行った羊間さんは、私に詰め寄って「名前は?その若さでってことは飛び級だよね?優秀なんだねー!」と矢継ぎ早に質問の雨を降らせた。
「え、あの……えっと……。」
何から答えようかと悩んでいると志波さんが羊間さんの首根っこをつかみ、私から引き離してくれた。
「コラ毛野。嬢ちゃん困ってるだろ?」
「うぇ?」
「ごめんなー。ウチの班女こいつ一人しかいないからうれしくなっちゃったみたいで……。」
「い、いえ。私は仄と言います。学院長からの推薦でこの試験に参加させていただいていますが、優秀かどうかは自分では何とも言えません。」
「学院長からの推薦をいただいておいて優秀かどうかわからないだと?俺たちを舐めるのもいい加減にしろよガキが。」
フォローしている海燕さんと、海燕さんに掴まれているシュンとしてしまった毛野さんに申し訳なくなりそう答えると、先頭を走っていた碓氷班長はそういって振り向きざまに私をにらみつけた。
そんなつもりで言ったんじゃないんだけどな。
「碓氷!そんないい方しなくてもいいだろ!」
「大丈夫ですから。空気を悪くしてしまってすみません……」
そう言って謝った仄に班内の他のメンバーは何も言うことができなかった。
そんな中、生徒の先導役としてと先頭を走っていた四番隊の隊士は額に冷や汗をかいていた。
「この状況、卯ノ花さんになんて伝えようか…」