第1章 伝説の始まり
その日、仄が授業に現れること無かった。
そして、1日の講義が終わった。
普段ならば自室に戻り早々に休むところだが、帰り際教室主任の教師に声をかけられた。
無断で授業を休むはずのないあいつのことを教師に聞かれ「分からない。」と答えると、教師は今から奴の部屋に様子を見に行くと言うので同行した。
顔を見て、もし体調を崩しているようならば「馬鹿でも風邪はひくのだな」とでも言ってやろう、なんて思いながら仄の部屋の扉の前に立った
教師と共にやつの部屋を覗けば、仄は血の染み込んだ布団の上で眠っていた。
教師が急いで息を確認すると、すーすーと寝息が聞こえてきた。
「救護の先生を呼んできます!! 朽木くんはここで彼女を見てて下さい!!」
そう言って置いていかれた俺は狼狽えていた。
見ていろと言ったが、何をどう見ればいいんだ。
そんなことを考えオロオロていると、仄が目を覚ました。
「ん? 白夜ぁ?」
まだ眠いのか、ボーっとしている仄に近寄り顔色をうかがう。
「おい、何があった。」
「ん、、、ちょっと喧嘩した」
「誰と?」
「彼岸花……ふぁぁ。」
欠伸混じりにそう答えた仄に「この血は誰のだ?」と、聞けば「あー、私のだ。」なんて呑気に答える。
染み込んだ血の量を見れば明らかに致命傷だ。だが仄はピンピンしているし、なんなら顔色もここ何日かの中で一番良い。
「その、彼岸花は何者なのだ。この血の量を見れば相当の傷を負っているはずのお前がなぜそんなに顔色が良いのだ。」
「へ?? いやそんなはずな………。
………傷がない。」
バッと胸元を開いた仄から急いで視線を逸らす。
こいつには羞恥心を1度、徹底的に教える必要がありそうだな。なんて考えていると教師が戻ってきた。救護教諭は仄の様子を見ていくつか質問を行い、やつを連れて部屋を出ていった。
これからこってり搾られるのか、、、なんて考えながら俺は自室に戻った
その後、仄が俺たちの教室に戻ってくることは無かった。