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【100プリ】*Lovers Birthday*

第1章 Sid~極上の女~


「あれ…?」

その中に使用感のある靴を見つける。

他のものと比べると地味な靴。

ブラウンのローヒールで
シンプルなデザイン、
そして見覚えのある傷………


「これ…!」


「気づいた?」

「なんでこの靴がここにあるの!?」

隣にいたシドを見上げる。


「お前の国にも行ったんだ。
で、お前の親にも会ってきた。」

「うそ……!」

「嘘だったらその靴、今ここにねぇだろ。」


シドが優しく私を見つめる。


信じられない…


その靴は、社会人になるお祝いに
家族で食事に行って、
そのときに親が買ってくれた靴だった。

慣れない社会人の1年目を
その靴とほぼ一緒に過ごした。

いつしか私もお洒落心が出て、
履かなくなり、
靴箱の奥で眠ってしまっていた。


私はその想い出の詰まった靴を
ぎゅっと抱き締める。


その瞬間……


目の奥に熱いものが込み上げてきた…

「う…うぅ……」

目から涙がこぼれ落ちたのを合図とばかりに、

「うわーーーん!!」

堰を切ったように声をあげて泣いてしまった。


誰も知り合いのいないこの国に来て、
いきなりプリンセスといわれ、

とにかく認められるように
必死でがんばってきた。

周りに迷惑をかけないよう、
見劣りしないよう、

ガラスの靴を履いて、
一生懸命背伸びして。

つらいこともたくさんあった。

ときに命の危険にもさらされた。

その中で大切な仲間に大切な人も出来た。

たった半年にも満たないこの短い期間に、
それまでの人生よりも濃い経験を
たくさんしてきた。

それは私にとっては
かけがえのない大切な宝物。


でも…でも…

その靴を見た瞬間…

一気に心に張りつめていた
糸のようなものが切れて、
等身大の何でもない私が表れた。


「ヒック…ううぅ…ふぇーん…」


涙が止まらない。

シドは私が泣いている間、
ずっと優しく私の頭や背中を
撫でてくれていた。

「お前がお前の限界以上に
がんばってきたことはみんなが知ってる。

これからは少しだけ周りに甘えろ。

…で、俺にはもっと甘えろ。」


その言葉を聞いて思い出す。


『泣くのは俺の前だけにしろ。』


余計に涙が出てきた。


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