第1章 Sid~極上の女~
連れてこられたのは
ちょっとオシャレな大衆食堂とでも
いったとこであろうか。
バーカウンターがあり、
中は割りと広くて人がたくさんいた。
ガヤガヤと賑わうその雰囲気に、
なんか元気付けられる。
通されたのはそのバーカウンターだった。
アランと隣り合って座るその感覚は
やっぱり浮気してるみたいで
ちょっとドキドキする。
メニューをもらい、目を通す。
「何がオススメなの?」
「ん、そうだな、俺ならこれかな。」
美味しそうな煮込み料理のようだ。
「じゃあこれ。」
「少し飲むか?」
といってもう一つのメニューを渡される。
アルコールのメニューだった。
目を通していくと、
この店オリジナルだと言う
あるカクテルに目が行く。
『BIRTHDAY』
「…私ね、明日誕生日なの。」
「……ごめん、知ってるから驚かないけど。」
「そうだよね…。」
明日は私の誕生日だった。
私がウィスタリアに来て
初めての誕生日ともあり、
各国の要人たちがウィスタリアに
来ることになっていた。
アランはそんな要人たちと挨拶をする
私のSPとして明日も一緒なのだ。
少し気分が落ち込む。
シドは私の誕生日さえも
知らないんじゃないかな。
「とりあえずソルティードッグ…」
「オッケー。」
そういうとアランは注文をしてくれた。
しばらくするとバーカウンターの
向こうから飲み物が出てきた。
しかし出されたものは
およそソルティードッグとは呼ぶには
だいぶ違う見た目の飲み物だった。
足付きで、
ふくよかに広がるグラス部分には
白い色の飲み物が入っている。
そしてグラスの縁には
色とりどりのフルーツが添えられ、
火花を散らした棒が刺さっていた。
フルーツに刺さる
小さなメッセージカードには
『HAPPY BIRTHDAY』
とセンスよくかかれている。
「え…もしかして『BIRTHDAY』かな?
あ、あの間違ってませんか?」
と、ダンディーなバーテンダーの
おじさんに聞く。
バーテンのおじさんはニッコリ微笑むと
「こちらの方からです。」
とアランと私の間を示した。