第64章 original~如何にして個とするか~
目が覚めると、義骸の私の身体から管がたくさん出ていた。
「成功しましたよ。安定しています。」
喜助さんの顔を確認すると、今までに無い気持ちが湧き出てきた。
悲しい、悔しい、怒り、今まで一度も彼に対して抱かなかったものだ。
「……ありがとうございます。」
「肉体の方はやはり感染病に罹っているようです。それが治り次第になるでしょう。」
「魂魄が肉体に入った方が、生命力が宿る。治りも違うでしょう。魂魄が無事なら肉体に戻ります。」
「石田サンから話を聞いた井上サンが治しましょうか、と言ってきてくださってますが、」
「結構です。……あまり彼女に頼りすぎるのは良くないですから。」
「ではこちらで連絡します。」
「お願いします。」
私は管をブチブチ抜いた。
「え、今からッスか?」
「雨!ソウルキャンディどこ。」
「いつもの箱にある……」
なんのソウルキャンディかわからないけど、それを飲み込んだ。
死覇装だ。死神の力も戻ってる。そのまま病院にまで走った。
「やっと魂魄が戻ってきたか。」
石田さんの父親、何度か会ったことはあるけれど死神嫌いが伝わってくるから得意な人ではない。
「今の肉体は魂がない、つまり腐らない屍だ。肉体に戻れ。治療が進む。」
肉体に入った瞬間なんだこれ。吐き気と頭痛と手の痺れと内蔵の鈍痛がやばい。
私が動いたので看護師さんがナースコールした。
「意識が戻ったんですね!ここがどこだかわかりますか。」
めっちゃわかります。めっちゃわかります。やべぇ気持ち悪い、吐く、めっちゃ吐く!!
「吐くならここに吐け。」
「こんなん聞いてないです……」
「仕方ないだろう。雑菌やウイルスだらけの風呂に入ったと聞く。四肢があるだけマシだ。」
「これいつ治ります……?」
「お前次第だ。」
織姫さんに頼めばよかったわ!!