第57章 完現術篇 結
一護の胸に刀が刺さる。皆の霊力を込めた刀だ。霊法により禁じられている人間への死神の力の受け渡しを、山本元柳斎重國総隊長が各所に頭を下げて特例を認めさせた。全ては尸魂界の恩人である彼の為。
しかしこの状況だ。一護はまた誰かに裏切られたのかと深い悲しみの顔で振り返る
「そうか、そうなのか、親父たちもそうなのかよ。」
一護が先にとらえたのは自らの父と、師である男。
彼の人生の支柱ともいえる二人も月島の手に落ちたと涙を流した。
「よく見てみろ、その刀を握る者が誰なのかを」
その瞬間ギラりと一護の胸に刺さった刀身が輝き、一護を包んだ。次に彼を目に映した時、その姿は私たちの身に纏うそれと同じもの、私たちと死を共にするものを携えていた。
「随分見ぬ間にたくましくなってないわー!ボケ!」
ルキアが一護をぶん殴る。
「すーぐ腑抜けるな!貴様は!はぁぁぁ情けない!!」
霊力が安定している。皆の死神の力だが、しっかり一護の力として馴染んだようだ。この調子なら斬月も呼応できるだろうし、この霊力量なら卍解もできる。
「これは貴様のために浦原が用意した刀だ。」
ルキアがこの刀の説明をすると、銀城が口を挟んできた。一度目の譲渡が成功したのは一護に死神の力が芽生えていたから。霊力が0の状態から、たかがルキア1人の霊力を注いだところで、そういい切る前に遥か天空から夜空を切り裂かんばかりの声が響いた。
「ルキアひとりじゃねぇぜ!」
穿界門から現れたのは阿散井恋次、朽木白哉、日番谷冬獅郎、斑目一角、更木剣八という護廷隊の中でも屈指の戦力を持つ者たち。そして、一護の仲間だ。
「皆……!」
この刀が如何様に作られたのか説明すると、一護は皆の力を感じると微笑んだ。
「ポインティ、任務完了だ。」
冬獅郎に声をかけられて、月島の後ろからみなの元へと向かった。
「じゃこれ外すね。」
右目につけていたコンタクトレンズを外す。これを通して、技術開発局に映像を送っていた。
「ちょ、ポインティ、お前……」
「おい月島、どういうことだ?」
「一番初めに私を狙ったのが悪かったわね。月島秀九郎。」