第54章 original~反実仮想篇~
「五体満足で制圧させないと……五柱鉄貫!」
五柱鉄貫で右腕だけを封じた。地にひれ伏しながらも鉄の塊から逃れようともがいている。
「破道の五十四 廃炎!百歩欄干!」
廃炎で左半身を焼き、直後に縛道で縛った。
これ如きで拘束できるなんて思ってもいないが……
「……これは!」
六車隊長は大きな口を開けて霊圧を放った。
虚閃だ。
それ自体に当たりはしなかったが、風圧で飛ばされる。
「いてて……」
五柱鉄貫の杭が震えている。
「縛道の六十三 鎖条鎖縛!!」
形態変化の鎖条鎖縛で右腕を縛りあげた。
一部づつ拘束した方が拘束力が増す。首、胴体、脚を縛ればあとは九曜縛で全体を拘束する……そうすれば喜助さんが来るまではもつだろう。
「五柱鉄貫!」
鉄の杭が下ろされ、膝関節を完全に固定した。
「縛道の三十 嘴突三閃」
本来より2倍の大きさの嘴が腰と首を固定する。
「うん、形態変化も上手くいった。これで低い番号の鬼道でも、六十番代後半と同じくらいの拘束力が期待できる。……でも、また虚閃をされたら厄介なので……。」
細い鎖の鎖条鎖縛で口が開かぬよう固定される。
鎖は細くなったがその分密度は高い。拘束力は変わらないはずだ。
「六車隊長、虚閃は放たない方がいいです。頭が破裂しますよ。縛道の七十九【九曜縛】」
これで完全に鎮圧出来ただろう。もし、これで足りなければ縛道の九十九第二を使用するしかないだろう。とはいえ、あれはまだ使ったことがない。見たこともないため上手くいくか分からない。
『回りくどいわ』
「……え?」
誰かが私に話しかけている。しかしそれは敵の声ではないと直感した。
『目覚めろ』
「目覚めるって……?」
そうしていると、周囲に張っていた吊星が破られた。
「これは……君がやったのかな。」
気味の悪い笑顔を貼り付けた藍染副隊長が歩いてきた。
「どうして、ここに、喜助さんは?」
「彼なら君の隣に。」
右を向くと、血だらけの喜助さんが倒れていた。
「……えっ」
嫌だ 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嘘だ、こんなの嘘だ、喜助さんがこんなことになるはずがない。
回道を試みようとするも、魄動が聞こえない。
それはつまり死を意味していて、死神である彼の身体は間もなく尸魂界を構成するための霊子となる。