第53章 original~魂葬篇~
「只今より第101回 西浜市立臨港高等学校入学式を開催致します。」
4月初旬、真新しい制服に身を包んだ新入生240名が体育館へ入場した。
爽やかな潮風香る学び舎で私は3年間という短い青春時代を送る。
本当の所、私の行きたかった学校に落ちてしまった。しかし多忙ゆえ"私"は全く学校に行っていないのにも関わらず、市内で人気が高まっている学校への入学が叶った。オーシャンビューの景趣が臨める開放的な立地、リゾートホテルを思わせる敷地内、公立高校とは思えぬお洒落な制服、自由を重んじる校風などからぶっちゃけ中学生には1番人気の学校である。
というのも、創立100周年を迎えるにあたって立て替え工事等が行われた。この学校の卒業生である校長の尽力のもと、公立では前代未聞とも言えるほど大幅な改装工事を行ったのだ。
潮風に当てられ、錆び付いた校舎が一変。伝統のセーラー服のデザインを生徒に親しみやすいものにしてみるとあら不思議。志望者数がなんと市の中でもダントツ。
推薦には落ちたけどこの辺りの公立学校の一般入試では異例の3倍の確率をくぐり抜けたのだから、私は胸を張っていいと思う。
「我が校舎は客船をモチーフにした設計となっていまして……」
校長の蘊蓄を空で聞きながら、これから始まる高校生活に胸を膨らませ……
たいけれど、そう簡単には上手くいかぬのだとため息をつく。
『なんで、リンがいるの?』
来賓席の辺りから白い大きなリボンがちょこちょこと動き回っている。
顔が熱くなる反面、血の気が引いていく感覚。
精一杯顔を下げていたが、虚しくも彼女に見つかってしまう。にんまりと笑顔を貼り付け、私のすぐそばへやってくるとカメラを向けてカシャカシャ。
キリッと睨むも、悪戯っぽく笑いながらカシャカシャ。
誰にも見えないことをいいことに、彼女は私の写真を取り続けている。
あー、ささこと入れ替われるコンパクトは鞄の中だ。
声も出ない状況なのに、あっちはゲラゲラ笑っているのが腹が立つ。
「隊長〜お似合いですよぉ!浦原殿にもお見せしなきゃ!」
「や……めぇっくしょん」
何人かがこちらに視線をやる。変に目立ってしまった。
ふふふっと笑って彼女は手を振り、この場から去っていった、、