第52章 original~空座町怪死事件篇~
そうこうしていると、森のなかに佇む廃病院が見えた。
「うわぁ、夏の特番でみるやつ……」
「虚の反応はありませんッスね。」
「じゃあ、みんなは病院周りを巡回。夜明けまでに出てこなければ突入を。あ、尸魂界には連絡した?」
「商店を出る前にしました。」
「よし、じゃあとりあえずは私たちからの連絡を待っててね。」
「では、参りましょうか、隊長さん。」
気配を消しながら病院の壁を伝うように歩いていった。
中は荒れているが、窓ガラスが割れたり、壁が破損しているところはなく、汚いが頑丈な作りだ。
「ここから、入れそうっす。」
一箇所だけ、人が入れるくらいに窓ガラスが割れている。
「さて、とりあえずは明かりをつけますか。」
懐中電灯をつけて地面を照らしたところ、壁や床のタイルが剥がれ、器具は倒れている。
薬品棚が倒れているからか、それとも腐敗したなにかがあるのか、鼻につく臭いが充満し、吐き気と目眩がする。
「……この臭い、身体に悪いものじゃないですよね?」
喜助さんもこの臭いがなにか気になる様子で薬品棚に近づいている。
私は風月を出して、風の力でこの臭いをどうにかしようとした。
「残念ながらあまりよろしくはないものですね。」
「えっなんかの薬品?」
「えぇ。この濃度なら問題ありませんが吸いすぎるのは良くないでしょう。先の部屋に行きますか。」
私が扉に向かって歩いていくと、扉付近の空間が歪んで見えた。
夏の陽炎のようなモヤ、と思った瞬間、視界が暗転した。