第46章 original~霊障篇~
デスクに積まれる報告書の量にため息をつく。
「……手がダメになる、これでいざというときに腱鞘炎で刀が握れないとか笑い話だよね。」
ははっと乾いた声が隊首室に響く。
リンは毎度の事ながらレンも参るほどの報告書だ。
死神が事務仕事だなんて誰が想像ついただろうか。
私は右も左も分からないままなってしまったがリンがそう嘆いている。
「私、パソコン苦手だけど手書きより楽かもね。間違えても消さなくてもいいもん。」
「それ使いこなせたら、作業楽になります?」
「多分。使いこなせたら楽になる。」
リンが顔を上げた。少し考えた様子で立ち上がり、扉の方へと向かった。
「リン?どこに行くの?」
逃げるのではと思ったのだろう、レンが引き止めた。
「鬼道班のところ。たしか今日は鬼道の鍛錬するってキリちゃん言ってたし。」
キリちゃんというのは石丸キリ。我が隊の七席のことだ。石丸家は現世でいう神官の一族らしく、霊王に纏わるものを祀ったり、祭事をしているらしい。そのような関係でこの副隊長二人とは昔から旧知の仲である。
「また石丸七席を誘ってサボるつもり?」
リンは大きなため息をついて、眉毛を吊り上げた。
「双子だってのに、ほんんんんっっっと、なんで伝わんないかなぁ!」
私の方へ顔を向けた。
「経理係長に給付金でパソコンを落とすように言ってきます。」
石丸七席は経理係長をしている。生真面目さをかって任命したが経理は苦手らしいので、経理係にはそういうのが得意な人を集めた。
「金髪の赤眼鏡の男の子にパソコンの良さを熱弁して、味方にし、パソコンを狩りとって参ります!」
金髪赤眼鏡の男の子は淡田トンボという見た目は私より幼い死神。経理が得意で、実質、彼が経理係長だ。
「トンボくん、昼から隠密機動との合同訓練に言ってしまうから、早く、早く急いで!」
健闘を祈る、と拳を出した。
「やってきます!」
リンは光の速さで飛び出した。
「こういうことは早いのに。」
「……パソコンのこと語れるのかな?」
「口は達者なので。」
とレンが笑った。
「そろそろ、現世に派遣した6人が帰還しますね。」
「今まで席官で駐在回してたから、だいぶ楽になるわね。」
冷えたコーヒーをくいっと飲んで伸びをした。
「さて、続き続き」