第45章 故郷
家から出て扉の前で目を瞑った。
楽しい思い出も、辛い思い出も全部、私にはかけがえのないものだ。
「私たち、またあの頃みたいに過ごせるんですよね。」
喜助さんは私の肩に手を置いた。
「夢みたいッス。貴女と共にここにまた戻ってこれるなんて。」
私はくるっと彼の方を向いて抱きついた。
「おかえり、おかえりなさい。」
「……ただいま」
これから、まだまだ時間はある。
ゆっくりと二人の時間を紡いでいけばいい。
贅沢なことはいいから、多くは望まないから
私たちは隣にいられたらそれでいい。
奇跡に奇跡が重なり、巡り会えたこの縁を、二度と離さない。切らさない。
夕焼けの光に包まれた私たちはそっと微笑んだ。