第42章 テセウスの船
「夜一さんに助けられてから約1日の間、二番隊の地下で平子さんたち……今の仮面の軍勢の方々の虚化を止める為の処置をしていたんッス。」
「そうだったんですね。」
「夜一さんはまず、ポインティさんの安全を確保する為に、専門部隊に加えアタシの元部下を家に派遣しました。貴女を二番隊で保護した後、一度だけ夜一さんと話したはずです。」
「はい。お話しました。喜助さんは無事であることだけ、あと髪飾りのことを伝えられました。それで喜助さんに伝えることは無いかと聞かれた時、「ない」と答えました。……ちゃんと理由があるんですよ?」
「理由ッスか?」
私は喜助さんの横に座り、手を重ねた
「私、やっぱりどこかで喜助さんと同じ目線に立ちたい、同じ死神として喜助さんを支えたいと思ってたんだと思います。だけど、この時初めて死神にならなくて良かったと心の底から思えたんです。転生すれば…現世にいる貴方にまた会えるって。……叶っちゃいましたね」
と笑う。
喜助さんの瞳は少し潤んでるようにみえた
「本当に……すいませんでした。そしてありがとうございます。こんなアタシのことずっと想ってくれて」
「喜助さんこそ、私のこと想ってくれてありがとうございます。」
喜助さんが私を想ってくれたから、私は生まれることができた。
「ポインティさん、抱きしめてイイですか?」
私が頷くより早くぎゅっと抱きしめられた。
私も背中に手を回す
苦しい程抱きしめられる
「やっぱり少し小さくなりましたね?」
「……どこのこといってるんですか?」
「い、いや、そう意味じゃないんスけど…背とか…」
「これから成長します!背も胸も!!!」
「もう一回ポインティさんの成長が見られるのは嬉しいッス。」
と頭をぽんぽんと撫でられた
喜助さんの匂いにひどく落ち着き、幸せに満たされた
奇跡が幾重にも重なって
私と喜助さんが巡り会えた
それなら運命に抗う必要なんて無い。
「私は喜助さんのこと、昔と変わらず好きです。」
「アタシは昔よりも好きッスよ。会えない間、想いを募らせてましたから。」
そう言って顔を近づけて笑った。