第40章 過去編 ~髪飾り~
「ありません」
「え」
「ありません」
あぁ、初めて、初めて
"死神にならなくて良かった"と思った
「また会えますから。」
そういうと夜一さんは そうか、と言って席を立った。
「夜一さん、ありがとうございます。」
「達者でな。ポインティ。」
その後、夜一さんが穿界門を開けて喜助さんを現世に逃がした。
そのせいで夜一さんが喜助さんの逃亡を手助けしたことがバレてしまい、地位を剥奪され、その後行方不明。
私は暫くの間喜助さんの元部下の人たちに保護してもらっていたが、中央四十六室から事件は幕を閉じたということで、元の家に戻された。
真央霊術院から戻ってもいいと言われたが私は退職した。
そして、家も離れた。
元々夜一さんの厚意で使わせてもらっていた家だ。
後でトラブルになる前に引越した。
一地区 潤林庵の川のほとりの小さな小屋。
ここに尋ねてくる人はいない。
噂では平子隊長やひよ里さんも事件に関わり、何かしらの理由で除隊したらしい。
あぁ、桜の季節には京楽隊長がふら~とやって来る。
ここの桜の木が好きなんだとか。
女ってのは強いね。僕ら男なんかより強い。
そうですか?
寂しくないのかい?
寂しいです。ずっとずっと泣いてました
僕の胸、いつでも貸すよ?役不足かな?
そんなことないですよ。
あれからもう九十年近くなるのかな……
六十年かかると聞いていたんですけど、喜助さんのせいで三十年も伸びましたよ。
君とこうして呑むのも最後になっちゃうね。
また人間に生まれ変われたら、百年後には戻ってきますよ
百年か…案外すぐかもね。
またお酒、一緒に呑んでくださいね?
楽しみにしてるよ。
その日の彼女は、ここ九十年間の中で最も晴れやかなものだった。
会えるといいね。
ポインティちゃんの大切な人に