第37章 過去編~交差~
ひよ里さんの言う通りだ
いつまでも当たり前が続くとも限らない
「ひよ里さん」
「なんや」
「今日の夜、あっちに帰ります。もし、夜になにかあればお願いしてもいいっすか?」
「めんどくさ。ちゃんと埋め合わせはしろよ!」
「はいはい、ありがとうございます。」
暗くなってるのにまだ家に帰ってない
もし、朝帰りだったらどうしよう。
平子さんとなにかあったら……
檻の中の熊のように部屋をぐるぐる回った
時計の針が0時になる前に、扉が開いた。
「ただいま~」
という消え入るような声。
おかえりなさい、と返すと、驚いた顔をしたポインティがこちらを向いた
元々お酒は強い方だから酔ってはないようだけれど、そこそこ飲んでいるようだ。
こんな遅い時間まで何してたんですか?
何もされてませんか?
平子さんから何も言われてませんか?
続々と言葉が溢れてくる。
「楽しかったスか~?」
出てきた言葉がそれだった
「き、喜助さんっ!!」
「ここ、僕の家でもあるんッスから、そんなに驚くことないでしょ?」
あぁ、どうしても嫌味っぽい言い方になってしまう
「今日は隊舎に泊まるんじゃ……」
「ポインティさんが平子隊長にお持ち帰りされたらと思うといてもたってもいられなくってね…だから帰って来たんッスよ。」
「大袈裟ですよ!心配しすぎです。」
そうやって、羽織を脱ぐポインティさん。
何にも思っていないようなのが無防備で危うさがある。
思わず腕をとって、壁に押し付けた
「心配しますよ…好きな人が他の男と共にいるなんて……嫉妬で気が狂いそうッス」
「嫉妬って…冗談やめてくださいよ~」
とぎこちなく笑っている
冗談……?
冗談と思ってもらっちゃ困る
「冗談に思えますか?」
気付くことが出来たんだ
このままじゃいけない、僕の本当の気持ちを貴女にちゃんと伝えなければいけない
「この際なのではっきりと伝えておきますが、僕はポインティさんのことが好きなんッスよ。」
彼女は驚いた表情をしてみせた。