第32章 過去編 ~序~
「貴女がそれを言いますか……」
私もどうやら霊力は高い方らしい。
「ここよりも瀞霊廷の方がいい暮らしできるのよ。美人な死神さんもいるかもしれない。」
ふいに抱きしめられた
「喜助兄?」
「僕が望むのはポインティと静かに暮らすこと、ただそれだけなんスよ」
意思のこもった強い声
私が転んで泣いた時、裏山で迷子になった時、大きな犬に吠えられて怖かった時、お兄ちゃんに抱き締めてもらえば、ひどく安心した。
それなのに、今、私は胸がドキドキとしてざわめいている。
「…じゃあ立派な死神になって、私をお嫁さんにしてくださいな。そしたら私も瀞霊廷で暮らせるもん。」
と冗談を言った
「わかりました。じゃあ立派な死神になってポインティを迎えに来ます。」
と真剣な眼差しで言われた。
熱い瞳から離せない
でも、私も、目の前にいる人とずっと一緒にいたい。
「約束ですよ?」
「はい。」