第3章 Prologue:斬魄刀
じぃは微動だにしない。
「この短期間で始解を得たことは予想外じゃった。実に驚かされた。」
「ね!?すごいでしょ!」
「じゃが」
声を張り上げた
「感心などしておらん。」
「え、なんで?」
じぃはぴくりともしない。
「斬魄刀の力を未だに出し切れておらん。扱えてもない。主はまだ死神という舞台につま先だけをつけただけじゃ。慢心するな。」
褒めてくれると思っていただけに、その言葉はショックだった。
「始解ができたんですよ!!」
「それ如きがどうした。」
始解ができない隊士だっている。
ただの人間の私が三ヶ月しないうちに始解できたんだ。
少しは褒めてくれていいでしょうに。
「……すいませんでした。」
私は部屋を出た。
廊下からはパタパタと足音が聞こえた。
「京楽隊長……!」
「いや、さっきのポインティちゃんの霊圧があまりにもすごかったからね~見に来ちゃったよ。」
「……別に凄くなんかありません。」
一礼して通り過ぎた。
京楽はポインティの背中を眺めながら笠を深く被り扉を開けた。
「山じぃ~さっきのってポインティちゃんの霊圧でしょ?」
「あぁ。彼奴、三ヶ月しないうちに始解を身につけよった。まだまだ鍛錬が必要ではあるが使いこなせば恐ろしいほどの力になるやもしれん。」
「それ、ちゃんとポインティちゃんに言ってないんでしょ。わかってないな、山じぃは。あの子は女の子でもありまだ子どもなんだから~」
「死神を目指す以上はそんなこと言ってられん。」
「またまた~孫が出来たみたいで嬉しいくせに。」
「戯言じゃ。」
「素直じゃないなぁ。」
京楽は意味あり気に笑った。
「ポインティには一般隊士、席官、いや副隊長以上の実力を持ってもらわなければならん。霊術院出身ではない、人間の死神。皆に認められるだけの力と精神力が必要なんじゃ。甘えさせられん。」
山本元柳斎の不器用ながらの愛だと弟子である京楽は感じることができるが、出会って数ヶ月の子どもにはそれを感じることは容易なことではない。
「いつか、山じぃの気持ちが伝わればいいんだけどね」