第11章 鬼さん、こちら。✔
「…何処に?」
「日輪刀を作る刀鍛冶が住んでる里です。あそこも密に本部と連絡を取り合う場所ですから、何かと隠の仕事も多いでしょう」
そう、なんだ……知らなかった。
それって、やっぱり、その…
「蛍ちゃん…その、黙っててごめんな。伝えると驚くと思ったから…」
「…後藤さんは、何も悪くない、ので…」
うん。後藤さんは悪くない。
悪いと言うなら……原因はきっと──
「私、だ」
「わたし?」
あ。
しまった、声に出てたっ?
「私って…」
「いや、あの…」
「……」
「…あの…」
「…蛍ちゃん」
私だなんて言ってしまったけど、菊池さんからしたらきっとお門違いな反応だろう。
でも咄嗟の気転なんて回らなくて口籠る私に、元々義勇さんのことでも洞察力の高かった後藤さんが相手だ。
「もしかして…知ってるのか?」
見破られるのは、時間の問題だったかもしれない。
なんのことかとはぐらかすこともできた。
後藤さんもそれを望んで問いかけたかもしれない。
でも。
「……」
「…そうか」
「え? 何が?」
黙って頷けば、それだけで全て理解したんだろう。何も知らない様子の前田さんだけが、頸を傾げて不思議そうにしていた。
「偶々、聞いてしまっただけだけど…知っているのは義勇さんだけで。誰にも言うつもりはないから」
「そっか…助かるよ」
「だから何が?」
「こいつみたいに知らされてない者もいるから」
「だから何がっ?」
「左遷の理由だよ。菊池の」
肝心のことは話してないけど、嘘じゃない。
後藤さんの回答は適切だった。
それを証拠に、前田さんもああと納得したから。
「こういう職場だから敢えて伏せられることもあるんですよ。同業の私だからお館様はお伝えになられなかったのだろうな、と。それだけ菊池も、罪深きことをしたんでしょう」
いつも突拍子のないことばかり言う前田さんにしては珍しい冷静な対応だった。
前田さんの言う通りかわからないけど、きっとお館様は隠さん達に動揺が広がらないようにしたんだろうな…。