第32章 夜もすがら 契りしことを 忘れずは
「ん…っなんだ…?」
「それ…っ足りな…ッ」
「何が足りないんだ」
「もっと奥まで欲しいの…っ」
「何が」
「杏寿郎の、魔羅」
「どんな?」
「太くて、大きい…っんはッ」
「形だけではわからんな」
じゅる、と敢えて音を立てて吸い上げる。
強めに吸えばびくんと腰を震わせた蛍が、そっぽを向いていた顔をこちらへと向けた。
「ぁ…熱くて、硬い、の…奥を突かれると、頭が…真っ白に、なる…の…」
何かに耐えるように眉を寄せて、唇を震わせる。
「杏寿ろ、の…魔羅の"くびれ"も、なかで擦れるのが…気持ちよく、て」
頬だけでなく、貝殻のような耳朶や男にしては白い肩口も赤く染めて。
「ひとつになると、どろどろに、溶けていく感じが…するの…心と体、ぜんぶ。杏寿郎と、ひとつになれてる気がして」
辿々しく告げる声が上擦る。
限界だと言うように、期待で濡れる蛍の目が杏寿郎の双眸を捉えた。
「それが一番好、き…ッ?」
後孔の目の前にあった杏寿郎の顔が、ずいと近付く。
目の前に迫るそれは雄の顔をしていながら蛍の唇を奪うことはなかった。
シーツに埋もれる蛍の顔の横に片手をドンと勢いよくついて、ぐっと片足の膝裏を高く持ち上げる──瞬間。
「ァア…ッ!?」
ぐずぐずに溶かされた小さな花弁は、太い肉棒に貫かれていた。