第15章 大切な人
「デートな、了解。今松葉杖無ぇから、横浜戻るか俺が背負うかになっちまうが」
『…中也さんのおんぶがいい』
「いいぞ、今日は甘えたい放題甘えとけ」
私から離れて保健室の寝台から降り、立ち上がる中也さん。
しかしここで私の方は、やはり寂しく感じてしまうもの。
『……いきなり離れちゃやぁ…』
「!…なんか久しぶりに聞いた気がするな、お前のそれ」
『え……ッ!…ち、中也さん……なんか今日優し…?』
少し屈んで私のおでこにキスをして、それから短い口付けを落として頭をポンポンと撫でてくれる。
「そりゃあな、今日は半分一緒にいてやれなかったし…それによ、またお前の誕生日祝えんのが嬉しいんだよ俺は。仮にも育ての親だからか、お前が成長すんのが嬉しくてな」
『……中也さん、は…私の、親…だもん』
「いいのかよ、名付けと育ての親じゃなくても」
『ん…白石蝶を生まれさせてくれたのは中也さんだもの。……十五歳になりました!…えへへ』
「…親は別に構わねえがお前、それだと結婚出来ねえぞ?流石に近親相愛はやべえだろ?」
『なんでそういうところでリアルなこと言うんですかぁ…』
クックッと笑われて、頬を膨らませていれば中也さんに悪い悪い、と笑われる。
「近所の優しいお兄さんでど『中也さんのどこが優しいお兄ちゃんなの?』お前たまに俺にもドストレートに毒吐く時あるよな?」
『…じゃあやっぱり飼い主さん?』
「ブッ……!!!」
『あれ』
違ったか。
それなら割とあたりな気がしたのだけれど。
「お、お前俺のことなんだと思ってんだよ…?」
『…世界で一番大事な人?』
「……スケールでけえっつの…」
照れたような中也さんはまた少し顔を赤らめているようだった。
だけどこれが一番しっくりくるんだもん、親は親だし、家族は家族だし…恋人は恋人だけど。
そんな言葉で表していいような人じゃない。
簡単にまとめられるような、そんなにスケールの小さい話じゃない。
私の言う世界とは、中也さんも分かっている通り今まで見てきた全ての世界の事を示している。
だからこそ、スケールの大きさは確かだけれど、ここまで言える人なんて普通いない。
『嫌だった?』
「…嫌じゃねえよ。……俺も…!」
『?どうしたの中也さん…?』
「……い、いや…なんでもねえ、気にすんな」