第15章 大切な人
『ふにゃ…も、もうやだ中也さんのセクハラ、変態、かっこいい』
「なんで悪口が最後まで持続しねえんだよお前は」
『……好き』
「な、ん、で!!こういうところでぶっ込んでくんのお前!?なあ!!?」
キレかかっているような口調だけれども頭を思いっきり撫でられた。
説得力無いよ中也さん。
それにしても本当上手いなあいつもいつも、私が気づいてない間にいつの間にか終わっちゃうんだもん。
『…!ち、中也さんの血は!?しんどくない!?寒くない!!?』
「ち、蝶?落ち着け、とりあえず座っ『また中也さん貧血になってない!!?』な、なってねえから今回は!そんなに大した量じゃなかったんだよ!!」
『そ、そう…なの……?じゃ、中也さんしんどくない?』
「しんどくない…第一そんなにやべえ量の輸血が必要な時ならお前とっくに倒れて意識ねえだろうが」
あ、そっか。
すんなりと納得して、向かい合わせになった状態で中也さんの手をまた握る。
指を絡めて胸元まで上げ、それに気付いた中也さんの方を少し見上げてニコリと笑う。
「…なんだよ、えらくご機嫌そうじゃねえか」
『えへへ…中也さんの手久しぶり握った~♪』
「!……馬鹿、何が手ぇ握っただ…」
『え…、あ……っ?』
途端に手をパッと離されて、何かと思えば中也さんは手袋を外し始める。
すぐに手袋は外されて、顕になったその手の薬指にはちゃんと指輪がはめられていた。
何も言わずに中也さんからまた手をとられて、指を絡められる。
『……中也さんの手だ…ッ、久しぶりだな…ぁ…』
「…ったく、泣くくらいならとっとと記憶戻してやってくれよ。……今日はどっか行きたいところあるか?無理しねえ程度になら連れ出してやれるけど」
『ん…中也さんと…………そ、その…』
口に出そうとしたらなんだかまた恥ずかしくなってきて、口篭る。
何?と言いつつ髪を手で掬われ、耳に指が当たった感覚にまたゾクリとした。
『あ…えと……』
「……素敵帽子、妾はそろそろあいつら連れて横浜に戻るが…あんまり可愛いからっていじめてると、いつか嫌がられるよ?」
「はっ、余計なお世話だっつの」
『え、与謝野先生もう帰るの!?今日ありがとう!!』
「!…いいってことよ、じゃあまたね」
ポンポン、と頭を撫でてから、与謝野先生は帰っていった。