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第15章 大切な人


谷崎さんの声にそちらを向けば、大きな大きな重箱が。
え、重箱?
ああ、そっかお弁当か……って何でわざわざ!!?

『え、あの!?私もうお弁当食べたからいらな「あんたのところの素敵帽子が、蝶は絶対食ってないっていうからそれは信用しない事にするよ」絶対ってなんで……!素敵帽子…?』

「そうそう、昨日の深夜に私のところにね。最近会ってないのだろう?目を離したらすぐにご飯を食べなくなるからと…わざわざ弁当付きで色々と持たされてね」

『持たされて…って、どういう……?』

「太宰さんも意地悪せずに言ってあげればいいのに…このご飯全部中原さんの手作りなんだって!」

「そうそう、手前らどうせ早くから行くんだろ、ならこれ持って行ってあいつに食わせろ、吐いても駄々こねても絶対ぇ食わせろ!って」

太宰さんの悪意のこもったモノマネは無視しておくとして、言っていたのは恐らく本当なのだろう。

『………この量?』

「全員で食べるんならって僕らの分まで作ってくれたみたい。なんていうか本当にビックリしたよ、まさかこんな量作ってくるなんて」

敦さんが重箱の蓋を開け、中からは美味しそうなご飯が見える。
作ってから時間経ってるはずなのにいいにおいまでしてくるし。

『…中也さん、が?』

「……食べてみれば分かるんじゃない?今日は無理矢理にでも食べさせろって言われてるから、嫌だって言っても…!」

乱歩さんの話を最後まで聞くことなく、進んで口に入れた。
お箸に摘んで、久しぶりにご飯を食べた。

嫌になるくらいに中也さんのご飯の味が口の中いっぱいに広がって、嫌になるくらい美味しくて、大好きで…

変なところで皆の事なんか考えもしないで、自分が最初に食べるんだなんて欲張りになって。

食べたら食べたで美味しいし、なんか視界まで滲んでくるし、無かったはずの食欲にも似た何かが湧いてくるような気がするし。

「蝶…?あんた、なんでそんな顔してるんだよ」

『だ、だってみんな来てくれるなんて思わなくて…』

「……蝶ちゃん、今思った事を正直に言いなさい?大丈夫、怒らないから」

『だ、太宰さん…?今、私ちゃんと言って「言わなきゃ中也に言いつけるけど?」な、何を!?』

分かってるでしょ、と太宰さんに言われるも、それを口にしてはいけない気がして口をつぐむ。

『…ご飯、美味しいなって。……それだけ』
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