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第14章 わからない人


言ってからソファーの背もたれに顔を隠すようにして埋めれば、沈黙が少しの間訪れた。
つい口をついて上からな言い方になっちゃったけど…流石に怒った?

私とは関わりがなかったような感覚の中也さんにいきなり偉そうなこと言ったら…ああ、そう言えば生意気な奴は締めるとかなんとか言ってたっけ。

しかしそれよりも恥ずかしさが勝る私はそれを悟られないよう必死だ。
というか沈黙が辛い、せめて何か言うか怒るかしてよ、恥ずかしいから。

「……蝶、さん?」

『………なんですか』

「もしかして照れてんのか?」

『照れてません』

「素直じゃねえ奴には躾をしてやらねえといけね『照れました、思いっきり照れました』変わり身早ぇな」

最早習慣だ、なんだこの人、記憶無くても鬼ですってか。
鬼じゃん。

「恥ずかしかったんですかね?」

『…悪いですか』

「いいや?寧ろ好みですかね」

『!!ッ、ひぁ…っ』

髪を耳にかけられて、そこを指でサワサワといじられ始める。
肩がビクビク震える上に、思わず身を捩ってしまう程に今はそこまで敏感だ。

分かっててやってるんじゃないの、この人。

『ぁ…ッ、あああ……っ、や、らそれ…!!』

「お、やっと顔見せてくれた」

『あ、悪趣味!!!』

「仕方ねえだろ、こういう顔のお前可愛いんだから」

『ふえ!!?かわ…ッッ!!!?』

「あ?…………何言った俺!?柄になさすぎること言ったな、気持ち悪かったなすまん!!!!」

柄じゃないといえばそうだけど、ここ数日言われてなくて私の方が慣れてなかった。

あれ、この人にこんなふうに言われてこんなに取り乱してたっけ私…こんなに耐性なかったっけ、私。

『ち、違…っ……久しぶりで、その…』

「!……どうやら蝶さんは以前の俺から相当溺愛されていたと見た」

『中也さんが親バカだっただけで…』

「蝶、記憶無くても俺の事好きか?」

『中也さん相手に私が好き以外の選択肢なんて持ってるわけが……………………別に!!?記憶どうこうとかどうでもいいですし!!!中也さんの事とか嫌いじゃないですから!!!』

「いや、手遅れだって。お前が俺の事大好きなのはよく伝わったよ」

嵌められた…というよりは自分から嵌りにいった。
だめだ、こんなの中也さんに告白したようなものじゃない。

どうしようこれ、誤魔化せないよ。
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