第14章 わからない人
「……してやれねえこともねえし、したくねえと言えば嘘になる」
が、と中也さんは私から手を離して、かと思うと私の敏感なところに服越しに手で触れた。
それにビクついて反射的に脚を閉じ、身体中をまた強ばらせる。
『ン……っ』
「…そんな怖がってるくせして無理して背伸びすんじゃねえよ」
『!!ち、違…ッ、びっくりしただけで!!!』
「怖くねえわけあるか、お前処女だろ。こういう駆け引きは今せずともまた『またっていつ…っ?』……せめて十六過ぎたらな」
中也さんの手が離れて、肩の力が抜ける。
恥ずかしさと悔しさと、そしてどうしようもない憎たらしさに涙が滲む。
悔しい…あとたったの一年ちょっと、生き抜く自信が無いのも悔しい。
『わ、たし…十六まで生きてられるかな……ぁ…っ?』
「…病気か何かか」
『違う…っ』
「それなら俺の傍にいりゃあいい。…お前を一人にはさせねえよ」
目を見開いて中也さんを見ると、慈しむような瞳で私を見ていた。
自分が助けるからとか、守るからとか、そんな大層な言葉はいらなかった。
『一緒に…って……』
「……勿論お前の身に何かがあれば、俺は全力で助けるつもりだ。…だが、もしもどうしようもない状況にでもなっちまったら……そん時は、俺もお前と一緒について行くさ」
『!!?何言って…!!』
「そうすりゃ、もうずっと一緒にいてやれんだろ」
毎度毎度、この人の発想には私の方がついていけなくなる。
要するに、言い方は違えどこの人は……私が死ぬような事態に陥ってしまえば、私と一緒に心中すると言っているのだ。
なんで、私なんかのためにそこまでの事が言える?
なんで自分の命が捨てられる?
「お前に俺は何度救われてんのか想像もつかねえ…汚濁形態の俺に突っ込んでくる奴なんか聞いたこともねえよ。お前は自分が俺のものだと言っていたが…………それなら俺は、お前のもんだ」
『…本気?一年、無いかもしれないんだよ?』
「構わねえさ、元々今生きてる方がおかしな身体だ」
『………死んじゃやだよ』
「お前が一人で泣いてる方が俺は辛い」
本当、理解出来ないよ中也さんのこと。
『…中也さんが死んだら私泣くから』
「弱ったな、どうすりゃいいんだか…」
『……細かく知りたいなら首領に聞いて。私は…仕方ないから、中也さんのとこにいてあげる』
