第10章 名前を呼んで
路地を抜けていくといつもの大好きな喫茶店。
「あら、蝶ちゃん…と、この間来てくれた子じゃない!」
「ど、どうも」
『お久しぶりです』
私が以前立原にだけ手作りのものを渡したプリン。
あれはそもそも私が独自に考案したレシピで、ここのプリンとほぼ同じようなレシピのものだ。
それを中也さんか誰かから聞いたのか、最近ちょこちょこここにプリンだけ買いに立ち寄るんだとか。
喫茶店に入るとプリンも勿論展示してあって、さっき立原からもらってしまったため、自分の分も含めてプリンを六個レジで頼む。
するとどうしたのか、少し奥でコーヒーカップを磨いていたオーナーさんが、そういえばと話しかけられる。
気になって首を傾げていると、何を思ったのか奥さんの方もああ!と私の方を向く。
「プリン食べていくなら、今日はここで食べていかない?」
『?な、なんでそんなに突然…「プリンもう一個オマケで付けてあげるから」!!いただきます!』
じゃあ中入ってみてね、すぐに分かると思うから!
笑顔でお冷の用意を始める奥さんに促されてお店のテーブル席の方に向かう。
「いやいや、やっぱりプリンだって!」
「アップルパイは外せないね」
すると中には見覚えのあるシルエット…それに物凄く聞き覚えのある、今聞いていて正直内心ホッとしてしまうような声。
「…!え、は!?こいつらがなんでここに!?」
立原が大きな反応を見せてくれたおかげで、その二人の視線が私の方に集中し始める。
「え、っ……え!?嘘、超ラッキーじゃん!!」
「まさかこんなタイミングで会えるなんて…君のその愛の運とやらがそろそろ怖いんだけど?僕」
『……ジョンさん…………と、トウェインさん』
「そのついでみたいな扱い相変わらずだね蝶ちゃん!!?」
隣どうぞ!!と元気にトウェインさんに促されて、お言葉に甘えて立原と一緒にそこの席に座らせてもらった。
まさかの再会だ、こんなところでトウェインさんとジョンさんに会えるだなんて。
「てめえらまだ横浜にいたのかよ?」
「この子に言われた通り、ちゃんと療養してる人がいるからね。普段ならすぐにでも本国に帰るのに、珍しく横浜に居座りたがってるんだよ」
ジョンさんの言葉にうーん?と頭を悩ませる。
『横浜に居座りたがってる?……誰が?』
「うちのボス」
『あ……お疲れ様です』
