第17章 Rolling Days
大野side
ずーっと、低音の音が鳴り響いてた。
かと思うと…突然、
ふわっと体が浮かんだ気がした。
S:「智くん?ほら、お風呂浸かるよ?」
翔ちゃんの声がまた聞こえた。
やっぱり翔ちゃんの声はあったかい。
「ん?…しょぅ…ちゃ…ん?」
ようやく少し動くようになった
手を伸ばすと翔ちゃんの大きな手が
おいらの手をぎゅっと包み込む。
「ほら、身体、あっためないと?ね?」
そのまま夢見心地になる。
なんか翔ちゃんの声が
その後も聞こえた気がするけど…
きっとこれは夢だ…。
愚かな自分が見せる幻。
でも目を開けたなら、
その幻さえ消えてしまうから…。
優しい夢を消さないように
ぎゅっと目を瞑る。
夢ならどうかこのまま醒めないで…。
その願い通り…
おいらは気がつけば寝てたみたいで…。
目覚めたとき、
その場所がどこかわからずに混乱するほど
深い眠りの中にいたみたいだった。
1度目覚めたら今度は眠れなくなって…。
ジリジリとしか進まない時計に
イライラが募る。
明日もコンサートはある。
寝ないと…みんなに迷惑かける。
これ以上はダメだから…。
部屋に残る微かな香り…。
やっぱりあれは翔くんだったんだと
解ってしまう…。
きっと…心配させてる…。
せめて明日は普通に…。
そう思ってカバンの底を漁り
白い錠剤を取り出す。
大丈夫…これでいつもの自分を…
演じられるはずだから…。
その錠剤が至上のものに思えた。
口にしながらここにいない誰かに祈る…。
助けてと…。
僕じゃなくて…
傷つけてしまった皆を助けてと…。