第13章 自分らしさと君のぬくもり【十四松】
それから私たちは、十四松くんの¨お気に入りの場所¨探訪をするために、いろんなところを巡った。
みんなの家のすぐ近くにある裏山でバードウォッチングをしたり、そこで数年前にたまたま見つけたという天然の洞窟を探検したり、川で泳ぐ魚を観察したり…
どれもお世辞にもデートとは呼べない、アウトドアチックなものだったけれど、彼の無邪気な笑顔と明るさのおかげでとても楽しむことができた。
十四松くん、今までにないくらい生き生きしていて…そんな彼の姿を見て喜ぶ自分がいる。
最初はどうなることかと思ったけど、これならちゃんとお礼できたかな…?
「十四松くん、いろんなところを知ってるんだね。普段あまり行かないような場所ばかりだったから、すごく新鮮だったし、楽しかったよ。教えてくれてありがとう」
手を繋いで川沿いを歩きながら、私は彼に感謝を伝える。
「本当に?」
「うん」
笑って頷くと、十四松くんは照れたように頬を赤く染め、嬉しそうに顔を綻ばせた。
もう夕方か…寂しいけど、そろそろお別れだよね。
「絵菜」
「うん?」
「最後に、お願いがあるんだ」
先ほどまでの可愛い笑顔は消え、真剣な眼差しを向けられる。思わずドキッと心臓が高鳴った。
「え、と…お願いって?」
「あの…ぼ、僕…」
「?」
「〜〜〜…っ」
首を傾げると、十四松くんは顔を真っ赤に火照らせて黙り込んでしまう。言いたいのに言えない…そんなもどかしさが伝わってくる。
口をきゅっと閉じてしまい、瞳をうるつかせて震えている彼が見ていられなくて、私はそっと彼の頬に手を伸ばし、優しく撫でた。