第126章 相手の心を開きたいなら、まずは自分の心を開け。
葵咲「ご、ごめん。あんまり遅くなったら駄目だし、帰ろっか。」
土方「・・・・・。」
(葵咲:これ以上引き留めちゃ駄目だ。ワガママ言っちゃ駄目だ。このままじゃ本当に土方さんに呆れられちゃう…。)
今日は散々醜態を晒し、クリスマスの時のクルーズ船でも欲求不満をさらけ出している。
クリスマスの時は玲央の術の影響だが、今は素面。今夜はただただ二人で一緒にいたいだけだが、“帰りたくない。”なんて言えば、別の意味も付随してしまいそうだ。
本当は離れたくない気持ちを押し殺して土方から離れようとすると、土方は葵咲と向き合いながら言葉を返した。
土方「…このまま屯所に帰るつもりなんかねぇよ。」
葵咲「・・・・えっ?」
耳を疑う葵咲。だが土方の目を見れば分かる。聞き間違いや冗談ではないという事が。
土方「今日と明日は休み貰ってんだ。何処でどう過ごそうが、誰にも文句言われる筋合いはねぇだろ。」
葵咲「っ!」
想定外の返しに葵咲の顔は再び真っ赤になる。今度は別の意味で言葉を詰まらせる葵咲を見て、土方も急に恥ずかしくなったのか、同じく赤面しながらツッコミを入れる。
土方「…な、何か言えよ!」
葵咲「だだ、だって!まさかそんな事、言われるなんてっ、思ってもみなかったし…っ!」
はわはわと挙動不審になる葵咲。それを見て土方は小さく溜息を吐く。
土方「お前、俺をどんな人間だと思ってんだよ。真選組副長である前に、俺だってただの“男”だ。」
葵咲「!!!!!」
言われてみれば、それはそうなのだが。改めて口にされると、土方が男性である事を尚更意識してしまう。葵咲につられて土方も再び赤くなりながら、葵咲の手を引いた。
土方「っ。…行くぞ。」