My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
ユウにもそんな存在がいるのか。
それは誰なのか。
…聞くことはできなかった。
"枷"の意味を問いかけた時みたいに、もし答えてもらえなかったら…"枷"の時みたいには受け止められない。
多分きっと、悲しくなる。
簡単に吐き出せない思いがある。
それはわかってる。
ユウは特に自分のことを語らない人だから。
それもわかってる。
わかってるけど、吐き出して欲しいって。教えて欲しいって、そう思うのは…我儘なのかな。
「……」
きっと我儘なんだろうな。
…だから、
「…うん」
聞けない代わりに、私が言うことにした。
「…いるよ。私が死ぬまで抱えていたい人達が」
自分のことも吐き出せないのに、吐き出してもらいたいなんて我儘だ。
ユウに教えて欲しいなら…私も伝えないと。
私の、抱えているものを。
「…"いたよ"って言った方が正しいのかな」
隣に座るユウの気配だけを感じながら、視線は崩れたケークサレに向ける。
「…前に話した…私の両親。…私が私自身を見失いそうになった時に、拠り所になってくれたのは…あの二人だったから」
何に縋って生きたらいいのか。
前も後ろもわからなくなって、その場に立ち尽くすしかなかった私をずっと支えてくれた。
「出会った記憶は、まともにないんだけど…それでも、その存在が私を支えてくれたから」
私に残されている両親の記憶は、小母さんの元に引き取られる時の朧気なものだけ。
幼かった私は、その顔も声もよく憶えてない。
ただ、その大きな腕で抱いてくれて、その優しい手で頭を撫でてくれた記憶だけは薄らと残ってる。
いつか"家族"で暮らそう。
そう笑いかけてくれたことだけは、儚い記憶の中に残っていた。
「私がこうして教団で立ち続けて…ここまで私として生きてこられたのは…あの二人のお陰なの」
それだけが、私に残っている唯一の"思い出"。