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My important place【D.Gray-man】

第37章 6/6Birthday(番外編)


 ✣

「来年もって…」


 思いもかけないユウからの言葉に、思わず反復してしまう。
 それって…思いっきりお祝いしていいってことなのかな。
 "おめでとう"って言っていいってことなのかな。


「…うん」


 ユウらしい素っ気ない言い方だったけど、それでも私の思いを認めてもらえた気がして気付けば頬は緩んでいた。
 そんな思いのまま口を開く。
 次に何を言うべきか、ちゃんとわかってたから。


「お誕生日おめでとう、ユウ」


 もう一度、今度ははっきりと思いを込めて口にする。
 そんな私に、ユウは何も言葉は返さなかったけど…少しだけ表情を緩めてくれた。

 いつもより少しだけ、柔らかい曲線を描く口元。
 いつもより少しだけ、優しくなる睫毛の長い瞳。

 アレンみたいに満面の笑みで、喜びを伝えてくれる人じゃないけど…でも。
 その些細な表情一つで、私の心は満たされた。
 私が好きになった人はこの人だから。
 彼から貰えるものなら、他人と比べなくたって充分大きなものなんだ。


「そのケークサレも今日中には間に合わないかもしれないけど、教団に帰ったらちゃんと作り直すから」

「いや、これはこれでいい。充分祝ってもらった」


 ケークサレの欠片を口に運ぶ手は止めずに、さらりと言い切るユウは本気で気にしていないようだった。
 大袈裟に喜びはしなくても、文句なんて言わずに黙々とあげたものを食べてくれる。
 バレンタインのチョコの時もそうだったけど…こうして当たり前に受け入れてくれる姿は、見ていて結構じんとくる。

 …きっとユウだからだろうなぁ…。
 蕎麦以外の食べ物には興味を見せない人だから。


「でも…蝋燭、立てられなかったし…」


 だけどやっぱり、どうせなら私が憧れた誕生日の形でお祝いをしてあげたかった。
 それだけはどうしても悔やんでしまう。


「蝋燭って…ガキか」

「っ! い、いいじゃない憧れだったんだからっ」


 呆れた顔で見てくるユウに、思わず羞恥で声を上げてしまう。
 子供っぽくて悪かったですねっ

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