My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「本当は…ずっと伝えたかった、けど…私、根性なしだから…ユウに真実を伝えて、嫌われるのが…敵として見放されてしまうのが、怖くて。ずっと、できなかった…ごめんなさい」
何回も頭の中で練習した。
何回も伝えようと頭の中で繰り返していた言葉だったのに、いざ口にするとはっきり音にするのが精一杯で、辿々しくなってしまう。
「騙すつもりなんて、なかったの…ごめん、なさい…」
途切れ途切れに伝える謝罪。
だけどユウは何も言わず、じっと耳を傾けていてくれた。
「ユウのこと、もっとちゃんと信じていられなく、て…ごめんなさい…」
ごめんなさいと、それから。
ああ、ありがとうって、そう、伝えなきゃ。
私の望みを受けてくれて。
会いに来てくれて、ありがとうって。
「それと、私の望み…聞いて、くれ…て…」
…あれ。声が震える。
はっきりと音には出来ていたはずなのに。
上手く言葉にならない。
鼓動がうるさい。
緊張と胸の奥を熱くする何かで。
体の内側から強く打ち鳴らしてくる。
駄目だ、ありがとうって。
ちゃんと伝えなきゃ。
「あり、がと…」
感謝の言葉は、酷く儚いものになってしまった。
無意識に目線が下がる。
ユウの顔が視界から外れる。
なんだろう。
胸の奥が、心が、熱い。
「──雪」
ふ、と。白い光が生まれて出来上がった影が、目の前にかかる。
あ。と思った時には、頬を大きな手で包まれた。
ひんやりと、少しだけ冷たい。
……ぁ…これ……ユウの、手だ。