My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「何阿呆なこと言ってんだ、お前」
だってあの人が、此処にいる訳がない。
「立て続けに独房にぶち込まれて、頭回らなくなったのか」
だって私の望みは、通らなかったんだから。
「つーか………なんだ、その格好」
だってこれは、映画や漫画の世界じゃないんだから。
「…おい、」
ピンチの時に助けに来てくれるヒーロー登場の名シーンのような、そんな都合の良い展開。ある訳がない。
「雪」
「──っ」
ある訳が、ない。
なのに。
名前をたった一言、呼ばれただけで。その人を欲していた私の心が顔を出した。
何度も何度も願ったもの。
私の名前を呼んで欲しいって、そう。
「何固まってんだよ。返事しろ」
少し苛立ったような、そんな声。
でも強めに催促はしてこない。
返事にもたつく私を前に待っていてくれていた時と同じ、促して耳を傾けていてくれるもの。
こんな空気を作れるのは…ルパンだからじゃない。
私の知っている、あの人本人だからだ。
じゃあ、この人、は。
「………ユ、ウ」
私が、待ち望んでいた人…?