第44章 剣と秘薬
せっかく街に宿をとったのに、翌朝モモが目を覚ましたのは、慣れ親しんだ船の中。
見慣れた自室に、使い慣れたベッド。
普段通りの朝だが、自分の身体だけがいつもとは違う。
「ハァ…。」
伸ばした腕が、まだ柔らかさを残した幼い子供のもので、モモはため息を吐く。
予想はしていたけど、やはり一晩経ったくらいでは元に戻らなかった。
これからわたしは、どうなってしまうのだろう。
一抹の不安を胸に、モモはベッドから起き上がり、昨日ナミたちが急遽、街で買ってきてくれた子供用のワンピースに袖を通した。
この年になって、子供を着ることになるとは、いたたまれなくて笑いが零れた。
着替えをすましてから、続きのドアをノックして、隣の部屋にいるはずのローに声を掛ける。
「ロー、おはよう。起きている?」
「ああ…。」
モモの呼び掛けに、ローはすぐに反応した。
ガチャリとドアを開ければ、いつものデスクに座るローの姿。
起きていたのか、寝ていなかったのかは怪しいところだ。
「ごめんなさい、やっぱり元には戻らなかったわ。」
「なぜお前が謝る。」
「だって…。、このままじゃ、あなたに迷惑が掛かるし。」
子供の姿では仕事に支障が出るし、もともと戦力にはならなかったとはいえ、さらにお荷物になってしまう。
それに…。
ローが望むような恋人らしいことも、もうできない。
それを寂しいと思う権利は、モモにはないはずなのに。
それっきり押し黙ったモモをどう思ったのか、ローはおもむろに口を開く。
「仕方ねェ…。服を脱げ。」
ローの言葉を理解するまで、しばらく時間が必要だった。
「………はい?」
なんだって?
「だから、服を脱げって言ってんだ。」
聞き間違いかと思ったが、…いや、思いたかったのだが、ローは同じ言葉を繰り返す。
「な、なな…なに言ってるの?」
今の自分はどう見ても幼女。
まさか、そういう趣味でもあるのだろうか。
身の危険を感じて、ズザリと後ずさった。