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レッテル 2

第11章 漆黒の棺桶


だけど、はっきりと"この人痴漢です"などと言えるはずもない。
世の中の女の人はそう言う人が多いと思う。
あたしもその中の一人。
いつもは普通の電車なのに、今日は魔物が乗り込んでいるらしい。
正確には、"欲望"という名の魔物にとりつかれた人。
あたしよりも遥かに年上の、いい歳した大人が情けないと思う。

「あんた、なにしてんだよ。」

突然聞こえた声。

「どうした?」

隣に立っている誠也君があたしの後ろを見ている。
あたしも、なんとか後ろを見る。

「こいつ痴漢してたんだよ……姉御に。」

そう言って男の手を掴む清治君。

「なっ何を―――イタタタタ!!」

痴漢が悲鳴を上げる。
ミシミシと腕に手が食い込んでるからだ。

「あ?…んだと。」

誠也君の目が光った。
ジッと痴漢を見ている。
周囲の人も同じ。

「痴漢だって。」

「あのオヤジマジキモい。」

そんな声さえ聞こえてきた。
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